第9夜

アイデンティティとは他者と共有するところに存在するものなので、自分の内側を探したところで見つからない。そもそも道に迷って右往左往している自分の内に、明快な答えが用意されているはずがない。 探すべきものは、「自分と何かを共有する他者はどこにい…

第8夜

ある人の話を聴いているうちに、ずっと忘れていた昔のできごとをふと思い出したり、しばらく音信のなかった人に手紙を書きたくなったり、凝った料理が作りたくなったり、家の掃除がしたくなったり、たまっていたアイロンがけをしたくなったりしたら、それは…

第7夜

今、僕たち生身の人間はいわば引き裂かれている状態にあります。片一方の足を国民国家にかけて、もう一方をグローバル経済にかけて、股割き状態になっている。気持ちが悪いからどっちかに片付けてくれというわけにはゆかない。引き裂かれてあることを、現代…

第6夜

職業を決めるとき、「自分の指向からだけで出発しない」は一つの発想のポイントになる。自分がなりたい、やりたいと考えているものだけではなく、自分のいままでの人生がどう活きてくるか、これだったらいままでインプットしてきたものを全部つなげていける…

第5夜

現実問題を肯定的に受けいれるための一つの支えになる装置という視点からすると、縁の概念はかなり使える。 ──齋藤孝さんが『折れない心の作り方』のなかで 縁というのは、仏教用語でいう因果関係のことだ。森羅万象全ての ことが単独に存在するのではなく、…

第4夜

個人の指向性だけで彩られ、自分の心地いいもので固めた快適空間には、他のものを受け入れる土壌がない。そこにだけひたっていると、自分の予想していないことや、自分にマイナスだと感じられることに対応できない。自分の「快」を邪魔する者や、自分とは価…

第3夜

日々の暮らしにおいて、周りのいろいろなものを自分の味方につけることを明確に意識化し、一つひとつ「技化」していく。 ──齋藤孝さんが『折れない心の作り方』のなかで 上機嫌で生きていくコツは、周りのいろいろなものを自分の味方につけることだと思う。

第2夜

どうも、歴史の大きな流れと、私たちが頭の中で考えている世界や社会像が、ものすごくちぐはぐな状態になっている。極小の単位で見ると合理性があるんだけれども、全体としては不合理なことをしている気がしてならないんです。 ──平川克美さんが『脱グローバ…

第1夜

息苦しいからもっと空気を吸おう、吸おうとする。だが、息苦しさの本当の原因は、きちんと息を吐けていないところにある。 ──齋藤孝さんが『折れない心の作り方』のなかで 息がしっかり吐ききれていれば、新鮮な空気をたくさん吸うことができる。けれど、吸…